一般媒介契約 【いっぱんばいかいけいやく】
媒介契約の一種で、複数の業者に重ねて仲介を依頼できるもの。並行して依頼している業者にほかの業者を明らかにする義務のある「明示型」と、伏せておける「非明示型」がある。一昔前は媒介契約といえば「非明示型」が多かった。自分で発見した相手と取引することも可能。売り手にとっては有利な条件で取引できる機会が増えるメリットがあるが、業者側から見るとほかの業者に先を越されるおそれがあり営業活動で熱意に欠ける面がある。
専任媒介契約 【せんにんばいかいけいやく】
媒介契約の一種で、仲介を依頼できる業者が1社に限られる形式。自己発見取引は可能。依頼を受けた業者は、契約を結んだ翌日から7日以内に指定流通機構(レインズ)に登録して登録済み証を交付しなければならない。また、2週間に1回以上の割合で活動状況について文書で報告するなど、積極的に取引相手を見つける努力をするように義務づけられており、一般媒介契約に比べて熱心な活動が期待できる。有効期間は3か月以内。
誇大広告 【こだいこうこく】
「有望なエリア。将来値上がり確実」などと客観的な裏付けもないのに、実際の物件以上に良く見せかける広告のこと。環境や建物の設備仕様・性能を大げさにうたったり、取引条件が有利であるかのように表示するのも不当表示。広告表示のルールを決めた表示規約では、「完全」「当社だけ」「最高級」「特選」「格安」といった特定用語の使用を禁じている(実際に測定できるデータがあれば別)。宅建業法でも誇大広告は禁止されている
おとり広告 【おとりこうこく】
不動産を探している客を自社店舗へ誘導するために、実際には取引できない物件の広告を出すこと。架空の物件をでっち上げる場合と、物件は存在していても売主に取引の意思がなかったり、取引の対象とは成り得ない物件を出す場合がある。広告を見て問い合わせたり来店しても、営業担当者が該当する物件の詳しい情報を出さず、「もう売れた」などといって別の物件に振り向けられる。不動産公正取引協議会の表示規約で禁止。
徒歩時間 【とほじかん】
現地から交通機関の最寄り駅や商店、学校、公共機関などへの歩いていく場合の所要時間は、不動産公取協の表示規約で、道路距離80mにつき1分を要するものとして計算することが定められている。1分未満の端数が出る場合は切り上げて計算する。たとえば500mの場合、[500m÷80m/分=6.25分]となり、表示は「7分」となる。信号や踏切の待ち時間、坂・階段の昇り下りによる時間のロスなどは計算上で考慮されていない。
宅地建物取引主任者 【たくちたてものとりひきしゅにんしゃ】
都道府県で行う宅地建物取引主任者資格試験に合格し、不動産取引の2年以上の実務経験を持つなどの要件を認められて、宅建主任者証(有効期間5年)の交付を受けた人のこと。宅建業法では、不動産会社の事務所には従事者5人に1人以上、案内所には1人以上の専任の宅建主任を置くことを義務づけている。宅建主任者の業務は主任者証を提示して重要事項説明をしたり、重要事項説明書や契約締結後の書面に記名なつ印することなど。
宅建業免許番号 【たっけんぎょうめんきょばんごう】
不動産会社は、事務所の見やすい場所に免許事項を記載した標識を掲示することが法律義務。この標識の最初に「国土交通大臣免許(1)○○号」「東京都知事免許(9)××号」と出ているのが免許番号。複数の都道府県にまたがって事務所がある場合が国土交通大臣免許、1つの都道府県内にある場合が都道府県知事免許。カッコ内の数字は免許の更新回数を示す。更新は1996年以降は5年に1度、それ以前は3年に1度の間隔。
サービスルーム 【さーびするーむ】
間取りの表し方に「2LDK+S」といった表現が使われていることがある。この「S」がサービスルーム。建築基準法で居室の有効採光率が決められている。住宅の場合は「開口部(窓)の大きさが居室床面積の7分の1以上」。この規定よりも窓が小さいと居室として認められないので、サービスルームという。部屋の広さとは直接は関係ない。実際には独立した部屋として十分に使えても、採光がとりにくい。「納戸」表記のこともある。
善管注意義務 【ぜんかんちゅういぎむ】
「善良なる管理者としての注意義務」の略。他人から借りたり預かったり、管理を任されているものを、職業上や社会通念上、客観的に期待される程度の注意をもって扱うことを求められること。民法で定められた義務の一つ。注意義務を怠って何らかの損害や損失を与えた場合は賠償責任を負う。「自己の財産におけるのと同一の注意をなす義務(自己同一注意義務)」よりも重いが、保管する対象によって注意すべき内容やレベルは異なる。
壁式工法 【かべしきこうほう】
主として、低中居の共同住宅などの建築に用いられる構造形式のひとつ。 骨組構造のように柱や梁を使わないので、建物の内外に余分な突出部分がなく、空間を効率よく利用できる。また、力学的な安全性を確保するため、壁量、壁厚などに制限が設けられ、非常に堅固な建物となる。骨組構造に比較して経済的であるとして普及しているが、柱、梁がないため階数に限度があるとされ、高層建築には不向きといわれている。
更新料 【こうしんりょう】
借地借家契約の更新に伴って、賃借人から賃貸人に対して支払われる金銭をいう。借地権又は借家権が期間満了によって消滅しても、賃貸人に正当の事由がなけれぱ契約の更新を拒絶し、土地又は建物の返還を求められないため、賃貸人の要求により、更新料が支払われることが多い。問題は、特段の合意がない場合でも、賃貸人にその請求権があるかであり、これを肯定する説もないではないが、判例(最判昭51.10.1)は、商慣習ないし事実たる慣習として更新料の請求権があるという賃貸人の主張を認めず、通説も同様に解している。なお、更新料の支払につき合意があり、それが賃料の支払と同様に更新後の賃貸借契約の重要な要素として組み込まれ、契約当事者の信頼関係を維持する基盤をなしている場合には、その不払は、その基盤を失わせる著しい背信行為として賃貸借契約の解除原因となり得るとする判例(最判昭59.4.20)もある。
消費者契約法【しょうひしゃけいやくほう】
消費者と事業者との間の情報の質・量・交渉力の格差にかんがみ、事業者の一定の行為により消費者が誤認・困惑した場合の契約の申込み等の取消し等を定め、消費者の利益の擁護を図ること.を目的として平成13年4月1日より施行された法律。消費者と事業者との間で締結される契約についで適用され、当事者双方が事業者である契約と当事者双方が消費者である契約は対象とならない。本法では、事業者が契約の締結の勧誘に際して、重要事項について事実と異なることを告げ又は将来における変動が不確実な事項の断定的判断を提供し、消費者がその内容が事実であると誤認した場合は申込みや承諾の取消しを可能とし(4条)、事業者が損害賠償の責任を全く負わないとする等、消費者の利益を不当に害する契約条項の無効(8条)、等を定めている。消費者契約法と民法・商法が競合する場合は消費者契約法が優先し適用される。また、消費者契約法と宅建業法が競合する場合は、宅建業法が優先される(11条2項)。例えぱ、瑕庇担保責任の免責特約は、消費者契約法では免責特約が有効な場合を限定し、全部免責条項を無効としているが、宅建業法では、売主が業者の場合は、目的物の引渡し後2年以上となる特約を除き、買主の不利となる一切の特約を無効(宅建業法40条2項)としており、宅建業法が優先して適用される。